考える豚
いつもの道を少し違う気持ちで通ったとき、ふと以前から抱いていたすごいしっくりくるやり方を思い出し、まるで大変な閃きを得たかのように「そうだ、そうなんだよ!」と息巻いて、何十分か後には、きれいさっぱり忘れている。
そんなアホな堂々巡りを何十周したことだろう。
朝起きて身支度をしている夢を延々と見ているようなもんだ。
やれよ。動けよ。体をよ。
無我の境地
なんでもない自分に慣れてきた。
朝からリビングで伸びてる猫と自分の姿がダブって見える。
びろーんと。
伸びきったゴム。
溶かしてリサイクルしたい。
来世に期待したい。
って前世でもそう言ってたんだろな。
そうやって80年も生きるのか。
いやだなぁ。
ムリムリ。無我なんてムリ。
ちっぽけな悩みを
吐いては捨てて歩こう。
家に着くまで
あと20分。
何をすればいい。
何がしたい。
何者だいお前は。
何もわからない。
何もならない。
何でもできる。
気がしてる。
家に着くまで
あと10分。
空は青いのに。